はじめに
「10回3セット」は本当に正解なのか
筋トレを始めたばかりの方から、経験を積んだ中級者まで、
多くの方が一度は悩むのが、筋トレのメニューを構成する
“セット数”と“レップ数”の問題です。
たしかに「10回3セット」はジムでもよく聞く定番のフレーズ。
ですが実は、この数字が最適とは限りません。
目的が筋肥大なのか、筋力アップなのか、
あるいは筋持久力の向上なのか
はたまた、トレーニング初心者なのか、中級者以上なのか
それによって、ベストなセット数・回数の組み合わせは
大きく変わってきます。
つまり、正しく知るだけで、今よりもっと
「効率よく・安全に・筋肉を育てる」ことができるようになります。
この記事ではセット・レップの基礎知識から、目的別の組み方、
最後は私が実際に筋肥大のために組んでいるメニューの
セット数、レップ数を紹介していきます。
この記事はこんな方におすすめ!
- 筋トレは何回・何セットが
自分に合っているのか知りたい - 筋肥大に向いているレップ数を知りたい
- 3セットで足りない気がしているが、
何セットやればいいか分からない - 筋トレの成果が伸び悩んでいる
- 効率的なやり方を見直したい
【基礎知識】レップ・セットとは何か

筋トレの話でよく出てくる「レップ」と「セット」。
当たり前のように使われていますが、
「セット」と「レップ」の意味、そしてそれが筋肉に
どのように影響するのかについて
簡単に押さえていきましょう。
また、これら2つと密接な関係にある
「インターバル」についても簡単に解説していきます。
レップ(Rep)とは
「Rep(レップ)」とは「Repetition」の略で、
「繰り返し」の意味です。
つまり、1回の動作=1レップと数えます。
たとえばベンチプレスの挙上を10回行えば、
「10レップ」ということになります。
これは筋肉にどれだけ刺激を与えたか、
という量的な目安になります。
また、筋トレの目的が
筋肥大、筋力向上、持久力向上なのかで
対象とするレップ数も変わってきます。
セット(Set)とは
「セット」は、あるレップ数を1セットとして数える単位です。
たとえば「10回×3セット」というメニューなら、
- ベンチプレスを10回 → 1セット目終了
- 休憩(インターバル)
- 再び10回 → 2セット目終了
- 再び休憩
- 最後の10回 → 3セット目終了
という流れになります。
1つの種目に対する基本的なセット数は
3セットでよいというのが私の考えです。
しかし、高重量の疲労をため過ぎたくない場合は2セットにする、
最近伸び悩んでいるなら5セットに増やしてみるなど
柔軟に変更してみるのも大切です。
また、1種目のセット数の上限は5セットが良いと考えています。
そもそも1種目で6セット以上
追い込まないといけないようなケースの場合、
重量設定をあげてあげる方が効果が高いことがほとんどです。
インターバル(休憩時間)とは
「セットとセットの間に取る休憩時間」のことを
インターバルと呼びます。
この時間もトレーニングの効果に大きく関係していて、
- 短い(30〜60秒):筋持久力向上に効果的
- 中程度(60〜90秒):筋肥大に効果的
- 長い(2〜3分):高重量を扱う筋力向上に有効
とされています。
レップ数・セット数・インターバル、
これら3つは密接に関係しています。
筋トレでは単に「重さ」や「回数」だけではなく、
「休憩時間」や「疲労の蓄積」を含めた設計が大切です。
たとえば:
- 8~12回×3セット・インターバル90秒:
筋肥大に最適な典型パターン - 3~6回×5セット・インターバル2分:
筋力アップ重視の構成 - 12~回×3セット・インターバル30秒:
筋持久力向け
など、私が筋トレのメニューを組むときは
レップ、セットにあわせてインターバルも
意識するようにしています。
【目的別】セット数・レップ数の目安

筋トレのレップ数・セット数といえば、
1つの種目で「10回×3セット」が定番。
しかし最近では
「5セットに増やした方が筋肥大しやすい」
「6レップ×5セットで筋力が伸びた」
など、様々なスタイルが紹介されています。
「どのくらいの回数を、何セット行うか」は、
筋肉に与える刺激の質と量を左右する非常に重要な要素です。
「筋肥大」、「筋力向上」、「筋持久力向上」の3つの目的別に、
最適なセット・レップ構成の目安を紹介します。
トレーニング目的を見極めるポイント
- 「筋肉を見せる・育てる」なら:
筋肥大型(中レップ) - 「重いものを持ちたい」なら:
筋力型(低レップ) - 「体力をつけたい・絞りたい」なら:
持久型(高レップ)
筋肥大(筋肉を大きくしたい)
✔ 目安
- レップ範囲:8〜12レップ
- セット範囲:3〜5セット
- インターバル:60〜90秒
筋肥大は「筋繊維への張力」と「代謝的ストレス」
の両方が必要です。
このレップ帯は中程度の重量で反復回数も多いため、
筋肉に十分なボリュームと張力を与えることができる
最適領域とされています。
筋力向上(高重量を扱えるようになりたい)
✔ 目安
- レップ範囲:3〜6レップ
- セット範囲:4〜6セット
- インターバル:2〜5分
高重量を扱うには、神経系の適応(動員効率)と
高強度の刺激が必要です。
短時間で疲労せず、高い出力を繰り返すため、
少ないレップ帯でセット数を増やし、
長めのインターバルを確保するのがポイントです。
筋持久力向上(疲れにくい身体を作りたい)
✔ 目安
- レップ範囲:12〜20レップ
- セット範囲:2〜4セット
- インターバル:30〜60秒
軽〜中程度の重量でレップ数を増やすことで、
筋肉の酸耐性や持久性が鍛えられます。
筋繊維のうち、持久力を担う
「遅筋繊維」に対する刺激が多くなるため、
疲れにくい体を目指す人やダイエット中の人にもおすすめです。
ウォーミングアップセットをカウントするか
筋トレで見落とされがちなのが、
「ウォーミングアップの重要性」です。
ウォーミングアップを適切に行うことで、
ケガを防ぎ、筋出力を最大限に引き出し、
トレーニング効果を高めることができます。
ウォーミングアップには2種類あります。
- 一般的ウォームアップ(General Warm-Up)
例:軽いランニング、ジャンピングジャックなど
→ 全身の血流を上げて体温を高める - 特異的ウォームアップ(Specific Warm-Up)
例:本番で行う筋トレと同じ種目を軽い重量で行う
→ 神経系を活性化し、ターゲット筋を事前に刺激
筋トレ前に行うべきは、
特に後者の「特異的ウォームアップ」ですが
これらのセット数はメニュー構成から
省かれていることも多いです。
私も1週間単位の筋トレボリュームを計算する際は、
この「ウォーミングアップセット」については
カウントしていません。
しかし、メイン種目のセットに取り組む前は必ず実施しているので
筋トレをしている方は、取り入れたほうがよいと考えています。
特に初心者の場合、ウォーミングアップセットを取り入れることで
怪我の防止だけでなく、フォームの練習・習得の効果
の恩恵もあるので
必ず取り入れるようにしてください。
ウォーミングアップセットの考え方
たとえば、メインセットが
「100kg × 8回」のベンチプレスを行うとしましょう。
この場合のウォーミングアップは、
以下のように徐々に重量を上げて神経と筋肉を慣らす形が理想。
ウォーミングアップの例
セット | 重量 | 回数 | 目的 |
---|---|---|---|
1セット目 | 空バー(20kg) | 12〜15回 | 可動域とフォーム確認、関節慣らし |
2セット目 | 60%(60kg) | 8回 | 筋肉に刺激、フォームを作る |
3セット目 | 80%(80kg) | 5回 | 神経系を徐々に活性化 |
4セット目 | 90%(90kg) | 1〜3回 | フォーム最終確認、力感を整える |
5~8セット目 | 100kg | 8回 | メインセット開始 |
私は1週間単位の筋トレボリュームを計算する際は、
この「ウォーミングアップセット」については
カウントしていませんが
例でいうと1~4セット目はボリューム計算に
含めていないということになります。
1回で行う筋トレの全ての種目で実施すると
筋トレ時間が必要以上にながくなってしまうため、
全種目でやる必要はありませんが
筋トレを始める最初の1種目目と、
メインとなる種目では取り入れるべきだと考えています。
ウォームアップ時の注意点
- 決して疲労しないことが前提
(メインのパフォーマンスを下げない) - セット数を多くしすぎず、
目的は“慣らし”と“準備” - セット間のインターバルは短め(30〜60秒)でOK
【実践例】私が取り組んでいる構成
私自身、トレーニング歴は3年ほどになります。(2025年6月現在)
現在の目的は筋肥大で、
それぞれの種目やセット数・レップ数を決めています。
主となる目的は筋肥大ですが、
すべての種目を「8〜12レップ」の「3~5セット」として
筋肥大目的の構成にしているわけではありません。
筋肥大のための構成だけではなく、
筋力向上のためのセット・レップも組み込むようにしています。
理由としては、筋肥大のためのセット・レップの種目で
より重たい重量を扱えるようにしていくためです。
私は五分割で筋トレをしていますが、
どの部位も基本的には、以下のセット、レップ構成で取り組んでいます。
セット構成とレップ数の工夫
種目の順番 | 目的 | 回数 × セット | ポイント |
---|---|---|---|
1種目目 | 高重量・神経系刺激 | 3〜5回 × 3セット | 筋力向上狙いの構成 ウォームアップセットを必ず実施 |
2〜3種目目 | ストレッチ重視 | 6〜8回 × 5セット | 筋力向上と筋肥大狙いの 良いとこどりを狙った構成 可動域を広く、重量にも挑戦 |
4〜5種目目 | 収縮重視 | 8〜12回 × 3セット | 筋肥大狙いの構成 パンプ感や筋肉の収縮意識 |
ウォーミングアップの工夫とポイントとして、
高重量を扱う1種目目の前には、
3セット程度のウォーミングアップを必ず実施します。
フォームや関節の違和感を確認することで
ケガ予防と神経系の活性化を狙います。
この構成の効果的だった工夫・調整ポイント
- 筋肥大狙いだけではなく、筋力向上狙いの構成を行うようになって
筋肥大狙いの種目の重量を上げることができ、週間ボリュームも大きくできた - ストレッチ種目では
「6~8回でつぶれるような重量」に調整し、
筋肥大と筋力向上の両取りを意識 - 筋肥大狙いの重量の伸びが停滞してきた時は、
2種目目も筋力向上狙いの種目にしたセット構成に
1か月ほど変更するのがポイント
セット構成とレップ数を種目やストレッチや収縮などの
目的刺激によって意図的に使い分けることで、
トレーニングの質と効果をより高めることができます。
初心者の場合は、まずはフォームの習得のために1種目あたり
12回ほどのレップ数で3セットを基本とするのがおすすめですが、
私のように中級者になりかけている方には、
自分の目的以外のセット構成を取り入れることで
より筋トレを伸ばしていくことができると思います。
まとめ
セット数とレップ数に正解はない
「筋トレは10回3セットが基本」
というのは、間違いではありません。
しかし、それが誰にとっても、
いつでも最適とは限らないというのが結論です。
セット数・レップ数の設計に必要な3つの視点として、
- 目的に合わせた選択
筋肥大、筋力向上、持久力向上など、狙う成果によって構成は大きく変わる - 経験と体力に応じた調整
初心者は基本的なセットから、中上級者は刺激のバリエーションを持たせることが重要 - 種目と部位ごとの最適化
高重量で刺激すべき種目もあれば、ストレッチや収縮に重きを置く種目もある
種目ごとにセット・レップ構成を意識する
今日から見直せるポイント
- セット数とレップ数の「意味」を理解して、
何となくやる筋トレから卒業 - 目的に応じた組み合わせ
(6回×5セット/8回×4セット/12回×3セット など)を取り入れてみる - 高重量の前には必ずウォーミングアップセットを!
- 「いつも同じ」ではなく、月単位・週単位で
構成を微調整して刺激をリフレッシュ
筋トレは「続けること」が第一です。
しかしその先に進むには、
戦略的に組まれたセット数とレップ数の設計が必要不可欠です。
今日のトレーニングから、ぜひ意識してみてください!