はじめに
筋トレするなら、脂質は怖がりすぎなくてよい
「減量=脂質カット」
のイメージを持たれている方も
多くいらっしゃると思います。
ストイックに脂質を減らせるだけ減らしていく
その考え方、実は筋トレYoutuberの派手な減量に
つられて、筋トレ成果を遠ざけているかもしれません。
たしかに、脂質は確かにカロリーが高く、
摂りすぎれば体脂肪の原因になります。
しかし、極端にカットすると、
- テストステロン(男性ホルモン)低下
- 筋力ダウン
- 性欲・やる気の減退など
「男としての機能低下」
が起こる可能性があります。
減量中こそ、脂質不足に注意すべきです。
集中力が続かず、やる気も出ないなどの
「なんとなく不調」を感じているのなら、
脂質不足によるホルモンバランスの乱れを疑ってみてください。
脂質は、体脂肪だけの問題ではありません。
- テストステロンの原料
- 筋合成を助けるホルモン環境の調整役
- 脳と神経、細胞の構成要素
つまり「脂質の極端なカット」は、
筋トレの成果を妨げることにつながってしまいます。
この記事では、
- なぜ脂質は筋トレに必要なのか?
- 減量中でも脂質を摂るべき理由と摂取量の目安
- 良質な脂質の選び方(実践的な食材例)
- 脂質を取り入れた私の減量成功体験談
- 今日から始められる脂質コントロールの実践
を紹介していきます。
この記事はこんな方におすすめ!
- 減量中で脂質をほぼカットしている方
- 筋トレしているのに最近伸び悩みを感じている
- 食事管理はしているけど
「体感的に不調」が続いている - 性欲・やる気・朝の元気が以前より弱まってきた
- 食事で“脂質を選ぶ基準”がよく分からない
脂質が筋トレに必要な理由
脂質は、筋肉もホルモンも“作る側”の栄養素
脂質と聞くと、多くの方が
「太る」
「減量の敵」
「あぶら」
というふうなイメージを持っています。
たしかに、脂質は1gあたり9kcalと、
たんぱく質や炭水化物(1g=4kcal)に比べて高カロリーです。
そのため、食べすぎれば体脂肪がつく要因になるのは事実です。
しかし、「カロリーが高い=悪」ではありません。
脂質は、筋トレをする男にとって、
むしろ欠かせないとても重要な栄養素になります。
脂質が持つ3つの重要な働き
① ホルモンの材料になる
脂質の中でもコレステロールは、
テストステロンなどの男性ホルモンの材料として使われています。
脂質が不足するとホルモン合成が鈍ってしまい、
以下のような状態になりやすくなります。
- 筋肉の成長が止まる
- 性欲・やる気が落ちる
- 疲れが抜けにくくなる
② 細胞・脳・神経の材料になる
脂質は、体の細胞を構成する
「細胞膜」や「神経伝達物質」の材料にもなります。
脂質が不足すると、
以下のような問題が起こりやすくなります。
- 集中力の低下
- メンタルの不安定さ
- 疲れやすさ、回復力の低下
筋トレにおいても、
神経系のコンディションが乱れるとパフォーマンスが下がるため、
脂質は非常に重要なサポート要素です。
③ エネルギー源として“粘り強さ”を支える
糖質が瞬発的なエネルギー源だとすれば、
脂質は長時間のトレーニングや
日常活動のスタミナを支える燃料です。
減量中で糖質も制限されている状態では、
脂質の役割はより一層大きくなります。
脂質は使いこなせば、
減量中の「持久力・回復力の隠し玉」になります。
テストステロンと脂質の関係
脂質摂取量と男性ホルモン濃度の関係については、
多数の研究でも裏付けられています。
代表的な研究(Volek et al., 1997):
脂質摂取量が高い男性ほど、血中テストステロン濃度も高かった
という研究結果が報告されています。
特に一価不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸を適量摂取している群が、
テストステロン値の維持に優れていました。
さらに、脂質を食事全体の20%以下に制限した場合、
テストステロンが著しく低下するという報告もあり、
これは減量中のトレーニーにとって見逃せないポイントです。
出典:
研究タイトル:
Testosterone and cortisol in relationship to dietary nutrients and resistance exercise著者:
J S Volek, W J Kraemer, J A Bush, T Incledon, M Boetes掲載誌:
Journal of Applied Physiology, 1997 Jan;82(1):49-54.DOI:
10.1152/jappl.1997.82.1.49PubMedリンク:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9029197/
ボディメイクやダイエットをストイックに行う人ほど、
筋トレYoutuberの派手な減量と自身を重ね合わせて
「極端な脂質カット」に陥りやすい傾向があります。
とくに20~30代で筋トレをしており
脂質の代謝も悪くなっていない年齢のうちは
ダイエット中であっても適量の脂質は摂取すべきです。
脂質=太るではなく、“脂質=支える”
誤解されがち | 本当の働き |
---|---|
脂質は太るだけの栄養素 | → ホルモン合成・細胞構成・集中力・やる気に不可欠 |
減量中は脂質を切ってナンボ | → 切りすぎると筋肉も男らしさも削れていく |
筋トレをするなら、“脂質の正体”を理解して活用しましょう!
脂質は“制限”するものではなく、“選んで摂る”ものです。
減量中でも脂質は摂るべき
正しい摂取量とPFC管理
減量期に入ると、削られがちな栄養素である脂質。
確かに脂質は高カロリーで、
削れば摂取カロリー全体を手っ取り早く減らせます。
しかし、前章までで解説した通り
脂質を過剰に削ってしまうと、
筋肉・ホルモン・やる気の“土台”が崩れる
というリスクはあまりに大きいです。
だからこそ重要なのが、
「最低限守るべき脂質量のライン」
「自分に合ったPFCバランスの設計」
を意識した食事管理をすることです。
減量中でも脂質は体重×0.8gを目安にキープ
わたしがおすすめしたいのは
脂質の最低摂取量を体重×0.8gとすることです。
たとえば:
- 体重60kg → 脂質48g
- 体重70kg → 脂質56g
- 体重80kg → 脂質64g
これを下回ると、個人的に
皮膚のかさつきや、倦怠感を感じやすく
筋トレそのものに悪影響が出やすいと感じています。
摂取量の設計は「PFCバランスの逆算」から考える
ステップ①:まずは1日の目標カロリーを設定
減量目的の場合、
目安は基礎代謝 × 1.4〜1.6程度(活動レベルによって変動)
例:基礎代謝1600kcal × 1.5 → 約2400kcal
(→減量ならそこから、マイナス300〜500kcalで設定)
→ 最終的な目標摂取カロリーを1900〜2100kcal前後に設定する
ステップ②:たんぱく質と脂質の摂取量を決める
- たんぱく質:体重×2.0g(70kg→140g=560kcal)
- 脂質:体重×0.8g(70kg→56g=504kcal)
ここで「P+F=約1060kcal」となり、残りを炭水化物に回す。
ステップ③:残りのカロリーを炭水化物に振り分ける
- 総摂取目安:2000kcal
- 残りカロリー:約940kcal
- → 炭水化物:940kcal ÷ 4kcal/g = 約235g
このように、脂質を
最初に確保すべき“土台”の栄養素として位置付けるのが、
ホルモンを守る減量戦略の基本です。
減らしすぎず、増やしすぎない“中庸の脂質戦略”
よくある脂質制限の失敗例:
失敗例 | 結果 |
---|---|
脂質30g未満の極端なPFC設計 | 性欲・やる気が激減、トレの質が下がる |
食事が鶏むね肉&サラダばかり | 栄養が偏って代謝も筋肉も停滞 |
炭水化物多め・脂質ほぼゼロ | インスリン感受性の乱れ、 体脂肪が逆に増えることも |
減量中の“脂質との付き合い方”:
- 卵や魚、ナッツで「自然な脂質」を摂る
- トランス脂肪酸などの“加工脂質”を避ける
- 脂質は“質”と“バランス”を見て調整する
- 「サラダにオリーブオイルをかける」など、
意識的に脂質を“仕込む”食習慣を持つ
減量中に意識すべき脂質の“タイプ別戦略”
脂質タイプ | 特徴と効果 | 主な食材 |
---|---|---|
飽和脂肪酸 | テストステロン原料に必要 | 赤身肉、卵黄、 バター(適量) |
一価不飽和脂肪酸 | 炎症を抑える、代謝安定 | オリーブオイル、アボカド |
多価不飽和脂肪酸 (オメガ3) | 血流促進、回復力UP | 青魚、亜麻仁油、クルミ |
良質な脂質の選び方
脂質は“質”で差がつく
脂質は削るものではなく、質の良いものを「選ぶ」ものです。
どんな脂質を摂るかによって、
筋肉の付き方、ホルモンバランス、
さらには見た目の清潔感や活力にまで影響してきます。
「減量中でも脂質をしっかり摂る」ためには、
ただ何でも食べればいいわけではありません。
大事なのは、「良質な脂質」の摂取です。
実際の食事シーンを想定して、
- 摂るべき脂質と避けるべき脂質の違い
- 具体的な食品例(コンビニ/外食対応)
- 忙しい社会人でも実践しやすい工夫
を紹介していきます。
摂るべき脂質はこの3種類
① オメガ3脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)
- 効果:抗炎症作用、血流改善、テストステロン維持、集中力アップ
- 食材例:サバ、イワシ、アジ、鮭、クルミ、亜麻仁油、チアシード
- ポイント:現代人は不足しがちなので意識的に摂取すべき脂質
② 一価不飽和脂肪酸
- 効果:脂肪燃焼促進、血中コレステロール改善、内臓脂肪対策
- 食材例:オリーブオイル、アボカド、ナッツ類(アーモンド・マカダミア)
- ポイント:酸化に強く、減量中にもおすすめの脂質
③ 適度な飽和脂肪酸
- 効果:テストステロン合成をサポート(コレステロールが原料)
- 食材例:卵黄、赤身肉、チーズ、ココナッツオイル
- ポイント:摂りすぎはNGだが、完全にカットすべきではない脂質
避けるべき脂質
タイプ | 食品例 | 理由 |
---|---|---|
トランス脂肪酸 | マーガリン、スナック菓子、菓子パン | 酸化ストレスを増やし、ホルモン分泌を阻害する |
加工食品に含まれる酸化油 | フライドポテト、唐揚げ、総菜 | 体内炎症を促進し、代謝低下や内臓脂肪の増加につながる |
過剰な植物油(リノール酸) | 安価なドレッシング・マヨネーズ類 | 摂りすぎるとオメガ3とのバランスが崩れる |
忙し人向け!良質脂質が摂れるコンビニフード
商品カテゴリ | 商品例 | メモ |
---|---|---|
魚系 | サバ缶、焼き鮭、いわしの味噌煮 | DHA・EPA豊富でホルモン維持に◎ |
卵系 | ゆで卵、味付き半熟卵 | 1個で脂質5g前後、テストステロンの材料に |
ナッツ系 | アーモンドパック、ミックスナッツ(無塩) | 間食に最適、満腹感&脂質補給 |
オイル系 | MCT入りコーヒー、オリーブオイルドレッシング付サラダ | 意識的に脂質を“足す”選択ができる |
✔ 選び方のコツは、
「動物性+植物性」のバランスを意識すること。
✔ 加工品より“原型がわかる食品”を選ぶのが鉄則です。
私の減量がうまくいった体験談
初めての減量
わたしは、平日はデスクワークをしており、
週4ほどの筋トレを習慣にしています。
筋トレをはじめた最初のころは、
夏にむけて減量に挑戦していましたが、
食事の内容は、いかにも筋トレ飯である
「鶏むね肉、白米、卵、ブロッコリー」でした。
脂質量は1日約25〜30gほどで
PFCバランスにすると、4:1:5となるような割合。
とにかく低脂質を徹底し、
その代わりにたんぱく質と炭水化物を中心に摂る食事で、
はじめの1ヶ月ほどは体重も落ちていました。
しかし、続けていく中で体重は落ちていたものの、
鏡の中の自分は“シュッとした”ではなく“しぼんだ”印象。
身体のメリハリもハリもなく、
仕事にもトレにも全く覇気がない毎日が多くなり
以下の感覚が増えていきました。
- 集中力が続かない
- 朝の目覚めが悪い
- トレ中のパンプ感がない
- やる気が出ない
- 性欲が消え、朝勃ちもしない
そんなこんなで、はじめての減量は
体重だけが落ちたという結果になり大失敗でした。
脂質を体重×0.8gに見直し
「脂質=悪」の思い込みをやめたら、
身体も気分も驚くほど変わりました。
はじめての減量での失敗から、
一度体重を戻すための増量期間を通しながら
栄養について学びなおす期間を設けました。
そのなかで、筋トレYoutuberの「なーすけ」さんが
減量で脂質をしっかりとったほうが調子がよいと
言っていたのをみて、私も試してみようと思いました。
2回目の減量では食事を見直し、脂質を体重×0.8~1.2gで設定。
カロリーを減らす際は糖質を減らすようにしました。
脂質源として、
MCTオイルや卵黄、サバ缶、ナッツなど
を適度に取り入れるようにしました。
この減量での食生活に変えてからは、
体重が順当に落ちるだけではなく、
筋肉の張りや体の元気が前回とは全く違いました。
※順当に落ちたとは言いましたが、停滞期もありました。
わたしが低脂質の減量時とで感じた変化
- 朝の目覚めがスッキリ
- トレ中のパンプが明確に復活
- 仕事中も疲れで集中が切れることも少なめ
- 性欲もやる気もキープできた
わたしが減量を通して学んだのは、
- 脂質を削りすぎると、
ホルモンバランスが崩れる=筋肉も
やる気も落ちる - 良質な脂質(卵・魚・オイル・ナッツ)
を取り入れることで、
身体の機能が正常化 - “しっかり摂る”ことで、
結果的に減量もうまくいく
まとめ
脂質を“味方”につけてデカくなる!
脂質は「太るから減らす」ものではありません。
むしろ、“男らしい身体”をつくるためには欠かせない土台栄養素。
テストステロンを保ち、筋肉を合成し、集中力とやる気を維持する
それを支えているのが、脂質なのです。
今日からできる「脂質を活かす3ステップ」
① 自分の“脂質の必要量”を知る
目安は体重 × 0.8〜1.2g。減量中でも最低ラインはキープする。
- 体重60kg → 48~72g
- 体重70kg → 56~84g
- 体重80kg → 64~96g
まずは、毎日の食事に含まれる脂質量を
把握することからスタート!
② 良質な脂質を選ぶ
避けるべき脂質を減らし、
テストステロンに貢献する脂質を“足す”意識をもつ。
取り入れる脂質 | 食材例 |
---|---|
オメガ3系脂肪酸 | サバ缶、いわし、鮭、亜麻仁油、クルミ |
一価不飽和脂肪酸 | オリーブオイル、アボカド、アーモンド |
飽和脂肪酸(適度に) | 卵黄、赤身肉、チーズ、ココナッツオイル |
サプリを使うなら、フィッシュオイル(EPA・DHA)や
MCTオイルも選択肢にいれてみてください。
③ 食事設計の中で脂質を“意図して入れる”
PFCの設計:
- たんぱく質 → 体重 × 2g(筋肥大の軸)
- 脂質 → 体重 × 0.8〜1.2g(ホルモンと代謝の軸)
- 残りのカロリーを炭水化物へ
これにより、トレーニング・仕事・私生活
すべてを支える栄養バランスが完成します。
忙しい社会人でもできる!脂質を賢く摂るテクニック
シーン | 工夫例 |
---|---|
朝 | ゆで卵+MCTコーヒーで脂質チャージ |
昼 | サバ缶やアボカド入りサラダを追加 |
間食 | 素焼きアーモンド10粒で脂質+満腹感 |
夜 | オリーブオイルを使った自炊 or コンビニ惣菜に“良質脂質”を添える |
筋トレを頑張っているのに結果が出ない。
減量しているのに覇気がない。
その悩み、脂質不足が原因かもしれません。
だからこそ今、脂質を“敵視する”のをやめて、
“使いこなす”という新しい視点を持ちましょう。
筋肉も、ホルモンも、あなたの魅力も
すべては脂質と“どう付き合うか”で決まります。