はじめに
Pythonを学び始めて、文法はやさしいとよく言われますが、
そもそも「Pythonってどんな言語なの?」
というところから理解するのも、
初心者にとってはなかなかのハードルです。
私も、PythonがAI開発によく使われている
という漠然としたイメージは持っていました。
しかし、実際に学び始めてみると、
思っていた以上に幅広い分野で使われていること、
Pythonのルールや仕組みにまだ慣れないところも多いです。
変数や文法といった実際のプログラミングについての作法は、
この記事ではなく、次回以降の記事で順次まとめていきます。
まずは、私が学んだ
「Pythonってこういう言語なんだな」
と実感した基礎的な全体概要の知識を、
できるだけわかりやすく整理して紹介していきます。
この記事はこんな方におすすめです!
- Pythonをこれから本格的に
学びたいと思っている方 - まずは全体像をざっくり理解したい方
- Pythonの特徴や環境について
調べている初心者の方 - 書籍を読みながらも、
つまずきがちなポイントを補足したい方
第1章:Pythonの特徴と用途

Pythonは今、話題になっているAI
(機械学習や深層学習)への活用だけではなく、
WebアプリやIoT、さらには組み込み系やセキュリティ分野に
まで幅広く使われている言語です。
- Webアプリ:
Django、Flaskなどのフレームワークを使って、
効率的にWebサービスを構築 - IoT:
Raspberry PiやESP32などで
動くMicroPythonが人気で、
ハードウェア制御と連携できる - 機械学習/深層学習:
TensorFlow、Scikit-learn、PyTorch
といったライブラリとの相性が抜群
これだけ多用途に使える理由は、
文法がシンプルで初心者にもわかりやすく、
ライブラリやフレームワークが充実しているため。
その結果、さまざまな分野で共通して
学ぶことができる強みがあります。
名前の由来
意外に知られていませんが、
Pythonという名前はイギリスBBCのコメディ番組「Monty Python’s Flying Circus」からきています。
実は創造者のGuido van Rossum氏がこの番組の大ファンで、
「真面目すぎず、遊び心のある印象」
をプログラミング言語にも反映したかったそうです。
この由来のおかげで、Pythonコミュニティにも
ユーモアやフレンドリーな文化が根付いているらしいです。
※私はコミュニティーはまだ全然みてないので、
ふんわり見た程度です
インタープリタ言語である
Pythonは コンパイル不要のインタープリタ言語 です。
コードを一括で「コンパイル→実行」するのではなく、
書いたコードをその場で読み取りながらすぐ実行できます。
- メリット:
- 「試しながら学ぶ」
「小さな機能から動かす」
といったスタイルに向いている
- 「試しながら学ぶ」
- デメリット:
- 全体をまとめて実行してから
バグに気付くよりも、書いた先から
順に止まる・エラー出力がある
- 全体をまとめて実行してから
例えば、構文エラーがあっても、
プログラムの実行自体はその部分まで実行されます。
しかし、構文エラーの箇所で、処理は止まり、
以降の処理は実行されません。
エラーの場所がわかりやすい一方で、
「実行中に途中までしか動かない」
という挙動を意識する必要があります。
多言語連携もできる拡張性
PythonはCやC++のコードをモジュールとして
取り込んで使う 拡張機能 を備えています。
これにより、速度が求められる部分をCで書いたり、
既存コードを活かしたりすることも可能です。
必要に応じて強力な他言語と組み合わせられる柔軟性があります。
第2章:Pythonエンジンのしくみと内部の動き

Pythonは「手軽で書きやすい」イメージがあります。
その背景ではインタープリタ、コンパイラ、バイトコード、
仮想マシンといった複数の工程を経て動作しています。
実際のプログラムコードを書くときは
あまり意識しない点かもしれません。
しかし、「Pythonが裏でどのように動いているか」
といった内部の仕組みを理解しておくと、
実際にコーディングやデバッグする際にも
「なぜこの動きをするのか」がはいりやすくなります。
インタープリタ型+バイトコードのしくみ
Pythonの特徴でも触れましたが、
Pythonはプログラミング言語の中でも
「インタープリタ型言語」に分類されます。
Pythonのインタープリタは、
実際には以下のように動作しています。
- ソースコードを拡張子
「.py」
のファイル
に保存(ソースファイルの作成) - 実行時にPythonコンパイラがソースファイルを
「バイトコード」に変換 - バイトコード(拡張子
「.pyc」
のファイル)は
Python仮想マシン(PVM)上で実行 - PVMが、バイトコードを
CPUが理解できる命令へと変換し、実行
この仕組みにより、Pythonは書いたコードを素早く動かせつつ、
内部では仮想マシンによる効率的な実行を実現しています。
コンパイルと実行の違い
「コンパイル型言語」のC#やJavaでは、
事前に一括でコンパイルし、
生成された実行ファイルやバイトコードを実行します。
一方、Pythonは実行と同時にコンパイルも行われる仕組みです。
- メリット:
すぐ実行して学習しやすい - デメリット:
コード全体ではなく、書いた部分から順にしか
エラー検出できない構造
エラー処理のしくみ
Pythonは実行時にバイトコードを読み取り、
一部だけ実行しつつ、構文や実行エラーに遭遇すると
その時点で停止します。
そのため、最初に書いた行が正常でも、
後続コードで止まるという動きをします。
この特徴は、IT未経験の学習者にとっては、
逆に「どこがダメなのか」を特定しやすいのかなと感じています。
文字コードとエンコーディング
Python 3では、ソースコードの文字コードは基本的にUTF-8です。
UTF-8は、世界中の文字を扱えるUnicodeベースで、
文字化けの心配を大幅に減らします 。
もし、Shift_JISなど別のエンコーディングを使いたい場合は、
ファイルの先頭に以下のような
エンコーディング宣言を追加することで
文字コードを指定することも可能です。
# -*- coding: shift_jis -*-
これはPEP 263という仕様で、
Pythonソースにおける文字セットを明示する手段です。
第3章:開発環境(IDE)の選び方と使い方

Python学習をするときに悩むタネの1つが
「どの環境で書けばいいの?」という部分です。
IDE(統合開発環境)や対話環境には様々な選択肢があり、
用途によって向き不向きがあります。
Pythonの開発では、以下が主に使われる開発環境です。
- JupyterLab:
試しながら学ぶ・分析するのに最適 - PyCharm:
本格開発向きの万能IDE(補完・デバッグ充実) - VS Code:
軽さ&拡張性があり、幅広い用途に対応 - Spyder:
データ分析・科学分野で特に便利
個人的には、とりあえずITが完全未経験で
プログラミングを学んでみたい
というレベル感なら「JupyterLab」、
今後の副業や業務を見据えたいなら、
「PyCharm」かなとおもっています。
私は学習環境も「PyCharm」を利用しています。
それぞれの開発環境の特徴を簡単にまとめているので、
気になるものがある場合は、それを利用するで
全然良いのかなと思っています。
また、複数の環境に触れてみて、
「自分がストレスなく使えるか」も大事です。
JupyterLab(学習・データ分析に強い)
- 特徴:
ノートブック形式で、
コードと文章・図表を交互に記述できる
対話的で学習やデータ分析に最適 - メリット:
- 結果を目で見ながら確認できる
- Markdownによる説明を混在できるため、
ドキュメント作成にも向く
- 注意点:
大規模なコード管理やバージョン管理はやや苦手
PyCharm(本格開発向け)
- 特徴:
JetBrains製のPython専用IDE、
Community(無償)版と
Professional(有償)版がある - メリット:
- コード補完、デバッグ、リファクタリング、
バージョン管理に対応 - ProfessionalではJupyter統合や
DjangoなどWeb開発も強い
- コード補完、デバッグ、リファクタリング、
- 注意点:
起動や動作がやや重い(?)
VS Code(軽量&拡張性重視)
- 特徴:
Microsoft製の軽量コードエディタだが、
拡張機能でIDE的に拡張可能 - メリット:
- 拡張から選べる軽快さ
- Jupyter用拡張でNotebookも扱える
- GitやDocker連携が可能
- 注意点:
設定や拡張にやや手間がかかることもある
Spyder(科学技術計算向け)
- 特徴:
データ分析・科学計算に特化したIDE
(Anacondaによく同梱されている) - メリット:
- 変数エクスプローラや
プロファイリングツールを内蔵 - デバッグも対応
- 変数エクスプローラや
- 注意点:
汎用開発には少し特殊
第4章:Python対話モード(REPL)の使い方

Python学習において、対話モード(REPL)は
「まずここで試そう」となる便利な環境です。
面倒なソースファイルの作成なしに、
その場でコードを動かせます。
REPLの基本から、起動後に出るメッセージの意味、
プロンプトの種類、履歴、活用例までを紹介していきます。
対話モードとは
REPLとは「Read–Eval–Print Loop」の略で、
読み込み→評価→出力→繰り返しができる対話式の実行環境です。
実際に、コマンドラインで python
(または python3
(UnixやmacOS環境の場合))と入力すると、
以下のようなメッセージが表示されます。
Python 3.11.0 (main, Nov 6 2022, 13:27:29) [...] [st-br /]→ ⓵
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information. [st-br /]→ ⓶
>>> [st-br /]→ ⓷
- 最初にバージョン番号などが表示
- 続いて
"help", "copyright",
のコマンドの案内
"credits", "license"
※ヘルプ情報や著作権情報を
確認するためのコマンド - 最後に 一次プロンプト
>>>
が表示
起動方法(Windows / Unix)
- Windows:
Command PromptやPowerShellで
python
と入力 - macOS/Linux(Unix):
Terminalでpython3
と入力
起動すると上記の情報が表示され、
結果として即REPL環境へ入れます。
help()
と入力すると、
使い方案内が確認できて初心者にはうれしい機能です。
プロンプトの使い分け
>>>
…
一次プロンプト。
式や単一行のコードを入力...
…
二次プロンプト。
複数行の構文(def
、if
、for
など)を
継続入力中に表示
例えば以下のようになります。
>>> if True:
... print("Hello")
...
Hello
>>>
...
はあくまで「継続入力中であること」を示すだけで、
入力せずにEnterを押すと一次プロンプトに戻ります。
利用履歴と履歴ファイル
REPLで入力したコマンドは矢印キー(↑↓)で呼び出せます。
また、コマンドの利用履歴は自動的にファイルに保存されます。
その履歴はホームディレクトリの .python_history
に保存され、
次回REPL起動時にも呼び戻せるありがたい機能です
REPLを使うメリットと活用例
REPLはいつでも起動できる便利な環境で、
以下のような場面で役立ちます。
- 文法を試す:
例えば4 * 9 + 6
のような式を即実行できる - 関数の動きを確認:
例えば関数定義をすぐ試せる - ライブラリを探索する:
help(str)
などで
組み込みオブジェクトの使い方確認 - 簡易デバッグ:
特定のコード片を動かして挙動をチェック
終了方法
REPLは以下のいずれかで終了させることができます。
exit()
またはquit()
を入力
※最近のPythonではexit
やquit
だけ
入力してEnterでも終了できます- Ctrl+Z+Enter(Windows)
または Ctrl+D(Unix/mac)
第5章:コメントの書き方とソースファイルの基本ルール

Pythonコードを書くときに欠かせないのが、
コメントやソースファイルのルールです。
読みやすさと保守性を高めるために、
ここで一通り押さえておきましょう。
単行コメント(#
)
#
を使って、1行だけのコメントを書く。- コードの後ろに追記して説明を書いたり、
行全体をコメントアウトしたりできます。
# これは単行コメント
print("Hello") # ここで画面に出力
コメントはコードとは無関係に書かれるため、
補足や読み手への注意書きとして使われます。
複数行コメント
Pythonには公式な複数行コメント用の構文はありませんが、
2つの方法が一般的です。
#
を複数行に使う。
# 複数行コメントの例
# 各行に # をつけるスタイル
トリプルクォートによる擬似コメント
"""
これは実際には文字列リテラルで、
コード内で使われなければ無視されます。
"""
トリプルクォートは「'」もしくは「"」の3連引用符です。
ただし、これは本来の用途としては
「ドキュメンテーション文字列(docstring)」や
「文字列リテラル」であり、
Pythonにコメントとして認識されているわけではありません。
IDEやエディタではコメント用途で
サポートされることもありますが、
ドキュメント用途にはdocstringを使い、
単に説明したいだけなら #
の複数行記法が推奨されています。
docstring(ドキュメンテーション文字列)
関数・クラス・モジュールの冒頭に配置するトリプルクォートは、
docstringと呼ばれ、__doc__
属性や help()
によって参照される正式な文書です。
以下のように使います。
def greet():
"""この関数は挨拶を出力します"""
print("Hello!")
PEP 8ではドキュメント用途にトリプルクォートの使用が推奨。
ソースファイルの拡張子 .py
Pythonのソースファイルは.py
拡張子で保存します。
IDEやエディタはこれを認識して
Python用の補完や構文チェックを有効化します。
ファイル名にはスペースを含めず短く意味のある名前
を付けるのがベストプラクティスです。
文字エンコードとエンコーディング宣言
Python 3のソースファイルはデフォルトでUTF‑8で
日本語なども問題なく扱えます。
しかしShift_JISなど他の文字コードを使う場合、
最初の行にエンコーディング宣言を付ける必要があります。
# -*- coding: shift_jis -*-
これはPEP 263で定められた方法で、
宣言することで読み込み時の文字化けを防ぎます。
第6章:まとめ&次回予告
今回は、Pythonという言語の概要から始まり、
そのしくみ、開発環境、対話モード、コードの基本ルールまで、
Pythonをこれから学ぶ人が押さえておきたい
「土台」となる知識をまとめてきました。
最初はとっつきにくく感じるかもしれません。
実際に手を動かしながら、
今回紹介したREPLやIDEを使ってコードを書く練習をすることで、
徐々に慣れていくはずです。
Pythonの魅力は、「誰でも書けるシンプルさ」と
「深くまで使いこなせる柔軟さ」の両立にあります。
▶次回の記事はこちら:
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Python入門:変数とデータ型の基本と文字列・数値操作
2025/6/30