はじめに
「いつもの重量がやたら重く感じる…」
「いつもならあと2〜3回はいけるのに、今日は最初からキツい」
筋トレをしていて、このように感じたことがないでしょうか。
いつも通りジムに行き、いつものメニューを始めたはずなのに、
バーベルが妙に重く、体も気持ちも乗ってこない。
そんな時、考えたくなくても
「筋肉が落ちたのかも」「もう伸びないのかな」
と感じてしまうこともありますよね。
でも安心してください。
いつもの重量が上がらなくても、
単純に筋肉が減ったわけではないこともあります。
実際、筋肉がちょっとのことで、
目に見えて減ることはありません。
「調子が悪い」「力が出ない」と感じる日の多くは、
筋肉そのものではなく、神経・精神・生活習慣・環境要因などに
左右された「パフォーマンスの揺らぎ」であることが多いです。
今回は、そんな「調子が悪い日」に焦らず対応するために、
- なぜ力が出ないのか?【原因タイプ別チェック】
- その日のトレーニングをどう調整すべきか?
- 中長期的な疲労管理&ディロードの考え方
- 不安を減らし、リラックスしながら
筋肉を育てる方法
などを、紹介していきます。
無理に頑張り続けることが“正義”ではありません。
「調整する視点」も、長く続けるための立派なトレーニングです。
この記事はこんな方におすすめです!
- 筋トレ歴半年〜数年で、伸び悩みを感じている方
- 最近いつもの重量がやたら重く感じる方
- 調子が悪い日にどう対応していいかわからない方
- オーバーワークやディロードについて知りたい方
調子が悪い原因

いつもの重量が重く感じる、調子の悪い日は
「筋肉が減ったのでは?」と不安になりがちですが、
実際には筋量そのものが急に減ることはありません。
筋トレを数日〜2週間程度休んでも、
筋肉量の変化はほとんど起きないことが分かっています。
- ある研究では、10日間の完全休養でも、
筋肉量や筋力の低下はほぼ見られなかった
(McMaster et al., 2013) - 別の研究では、2週間休養しても、
トレーニング再開から数日で
元のパフォーマンスに戻った
(Bosquet et al., 2013)
つまり、1日2日パフォーマンスが落ちていても、
それは筋肉の減少ではなく、
「一時的に出力が落ちているだけ」ということ。
重量を扱うための筋力は、様々な要素がかみ合っています。
つまり、筋力は「筋肉の大きさ」だけで
決まるわけではありません。
以下のような要因が複雑に絡み合って決まります。
筋力=筋肉量 × 神経系 × コンディション
- 筋肉量
- 単純に体に搭載している筋肉の量
- 神経系
- 筋肉をうまく動かすための“指令”を出す
- 神経疲労で一時的に出力が落ちる
- コンディション
- 睡眠とホルモン分泌
- 食事・水分
- 気温・湿度など環境
- 心理的要因
つまり、「筋肉の状態は良好」でも、
それを最大限に発揮する“環境や神経系”が整っていないと、
いつものパフォーマンスが出ないというわけです。
特にコンディションについては、様々な要因があるため、
常に一定以上のパフォーマンスを出すためには、
コンディションのケアも大切になってきます。
だからこそ、調子の悪いは「焦らず、整える」が大事です。
「筋肉がなくなった」と思って焦って重さを無理に追いかけると、
フォーム崩れや怪我のリスクが高まります。
そんな日はむしろ、「体を整える」ことに集中して
次回のパフォーマンスに向けてコンディションを
整えてあげましょう。
調子が悪い原因の見極め
調子が悪い日の原因は、大きく分けると
以下の4つのいずれかであることが多いです。
- 筋肉的疲労タイプ
- 神経・精神的疲労タイプ
- 栄養・睡眠不足タイプ
- 環境・外的要因タイプ
調子が悪い日の原因の傾向を押さえておくことで、
安定したパフォーマンスで成長につなげていけるようになります。
以下の各タイプの質問の中で
「YES」が多いものが、あなたの不調タイプの
ヒントになるので参考にしてください。
【筋肉的疲労タイプ】(YESが多いとこのタイプ)
- 筋肉に張りや重だるさが残っている
- 筋肉痛が2日以上続いている部位がある
- フォームが崩れやすく、左右差を感じる
- ウォームアップで体が温まりにくい
- 前回のトレーニングがかなりハードだった
筋肉の疲労があるタイプの方は、疲労さえ抜けてしまえ
パフォーマンスはすぐに戻ります。
筋トレを真面目に取り組んで、
休むことなく頑張ってしまう方に多く見られる原因でもあります。
筋トレにおいて、休みを取ることも大切なので、
休息の重要性について、気になった方は
こちらをチェックしてみてください。
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筋トレを休むのが怖い?休息日も「筋肉の時間」に変える方法
2025/6/27
【神経・精神的疲労タイプ】(YESが多いとこのタイプ)
- 最近、寝付きが悪い・浅い眠りが続いている
- トレーニング中に集中できないことが多い
- 思考が散漫で、動作にキレがない
- 仕事や人間関係などのストレスが溜まっている
- 何となく“やる気”が出ない日が増えている
疲労がたまっている状態で、少し厄介なのがこのタイプです。
心理的なストレスからくる疲労や神経疲労は、
思っているよりも筋トレのパフォーマンスに影響を与えます。
パフォーマンスを安定させるためにも、
日常からリラックスできる環境を整えたり、
精神的ケアなどで自律神経を整えてあげることが重要です。
とくに精神的な疲労を感じている場合は、CBDの摂取などで
副交感神経を優位にし、ストレス緩和や入眠促進を助ける
メンタル調整がおすすめです。
ストレス管理の重要性やCBDについては、
こちらでまとめているので気になる方は、チェックしてください。
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-
【筋トレ×CBD】ストレス、睡眠の質の管理の重要性
2025/6/25
【栄養・睡眠不足タイプ】(YESが多いとこのタイプ)
- 食事が1日2食以下の日が続いている
- 水分を1日1リットル以下しか摂っていない
- 最近コンビニやファストフードの割合が多い
- 前日にお酒を飲んだ
- 睡眠時間が5時間未満の日が週に2回以上ある
食事が適当、あるいは睡眠時間が短いままの筋トレは、
エネルギー不足・脱水・深い睡眠不足が原因となる
典型的なパターンです。
身体は本来の力を出しにくくなり、
パフォーマンスの質も大きく落ちてしまいます。
特に食事については、筋トレ直前の食事だけでなく、
直近1週間前後での食事の積み重ねも関わっています。
筋トレにおける食事の基本的な考え方を、
こちらの記事でまとめているのでぜひチェックしてください。
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筋トレするなら押さえるべき!筋肥大のための食事の基礎
2025/6/24
【環境・外的要因タイプ】(YESが多いとこのタイプ)
- 気温や気圧が変わりやすい時期である
- ジムの混雑や音、照明にストレスを感じる
- トレーニング時間帯がいつもと違った
- 睡眠のリズムがズレている
- 気分が落ち込みやすい季節に入ってきた
気圧の変化、ジムの混雑状況など、
自分のコントロールしにくい要素も
パフォーマンスに関わることがあります。
このタイプについては、筋肉が落ちていることが原因ではないので
- 筋トレに集中するためのルーティンを確立する
- ジムが混雑している場合、
柔軟にメニューを変える - 思い切って休養にする
などの対策をすることで改善が期待できます。
調子が悪い日の筋トレ対処

「調子が悪い=今日はやらない方がいいのか?」
「力が出ない」
「重量が上がらない」
と感じてしまった日の筋トレで、
おすすめの3つの対処プランを紹介します。
- 重量・ボリュームを落としてフォーム練習
- 補助種目・ポンプ系メニューに切り替える
- 完全オフ or アクティブレストに切り替える
「うまくいかない日をどう過ごすか」が、成長を左右します。
すべてが思い通りにいかなくても、「整える」という選択は、
結果的に“最短ルート”につながることもあります。
プラン①:重量・ボリュームを落としてフォーム練習
こんな人におすすめ:
- 神経的疲労を感じる
- 集中力が続かない
- ケガを避けたいが何かやっておきたい
実践方法:
- メイン種目は通常の70〜80%の重量に設定
- セット数は2〜3セット程度でOK
- 「止める位置」「可動域」「姿勢」
を再確認しながら行う
フォームに集中することで、神経のリセットにもつながり、
次回のパフォーマンス向上にも貢献します。
プラン②:補助種目・ポンプ系メニューに切り替える
こんな人におすすめ:
- 筋肉疲労が残っている
- 関節や腱の違和感がある
- 気分は乗らないけど体を動かしたい
実践方法:
- メイン種目は省略し、
ケーブル・マシン・自重メニュー中心にする - 「軽め×高回数(12〜20回)」で
パンプ感を得ることを重視
例:ケーブルフライ、レッグエクステンション、自重スクワット
この日は「筋肉を動かして回復を促す日」として割り切ることで、
モチベも維持しやすくなります。
プラン③:完全オフ or アクティブレストに切り替える
こんな人におすすめ:
- 全身的にだるい/眠気・集中力がない
- 睡眠不足やストレスが強い
- 明確に「今日は無理」と体が言っている
実践方法:
- トレーニングは完全オフ
or 散歩・ストレッチ程度に留める - 夕方以降はブルーライトを控え、
入眠の質を最優先 - CBDやマグネシウムなど回復系サポートを使って
副交感神経優位へ
休息日を有効に使うことで、調子の悪い日だけではなく、
今後の筋トレ全体のパフォーマンスを
上げることにもつながります。
休息日の重要性やおすすめの過ごし方については、
こちらの記事にまとめているので、ぜひチェックしてください。
-
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筋トレを休むのが怖い?休息日も「筋肉の時間」に変える方法
2025/6/27
調子が悪い日を減らすためのおすすめの取り組み

「今日は調子が悪いな…」と感じる日が断続的に続いたり、
トレーニングに対する集中力が切れやすいことが多い方は、
「ディロード(Deload)」
を筋トレの習慣に取り入れてみてください。
ディロードはトレーニングの強度やボリュームを
意図的に落とす期間を設けることで、
心身の疲労をリセットし、
次のステップに向けた準備を整える方法です。
ディロードとは
「戦略的に休む」週間
ディロードは、単なる「休み」ではありません。
普段ハードに追い込んでいる筋トレを、
一定期間(通常1週間前後)だけ負荷を減らしたり、
完全に休むことで、
神経系・関節・筋肉・精神の全てを整えるという、
いわば“戦略的な一歩引き”です。
特に、中級者以上のトレーニーで
週4~6回トレを継続している人ほど、
疲労は自覚がなくとも蓄積しやすく、
パフォーマンスの鈍化やケガのリスクが高まりやすいです。
ディロードで得られる5つの効果:
- 神経系の回復
筋出力・集中力が戻る - 筋肉・腱・関節の修復
怪我リスクの低下 - ホルモンバランスの正常化
成長ホルモン、テストステロンの分泌回復 - 精神的リフレッシュ
「またトレーニングしたい」と思えるように - フォームと動作の見直し時間が取れる
長期的なパフォーマンスアップに
ディロードの取り組み方としては、
大きく3つのアプローチがあります。
- 完全オフ
- 3~4か月に1度、1週間完全に筋トレをしない
- 普段から週5~6の筋トレをしている方に
おすすめ
- 強度を落とすタイプ(Intensity Deload)
- 普段の重量を60〜70%に下げて、
レップ数やセット数はそのまま - 筋肉や関節への物理的負担を軽減しつつ、
動作パターンを維持できる
- 普段の重量を60〜70%に下げて、
- ボリュームを落とすタイプ(Volume Deload)
- セット数や種目数を50%程度に削減し、
重量はそのまま〜やや軽め - 神経やホルモン系に配慮しながら、
最小限の刺激を保つ
- セット数や種目数を50%程度に削減し、
完全オフ以外の2タイプについては、
4~6週間に1度を基本目安として
以下の疲労サインがあれば取り入れるのが理想です。
- パフォーマンスが1週間以上落ちている
重量・回数ともに維持できない日が続く - モチベーションが低下している
行く気が起きず、義務感になっている - 関節や腱に違和感がある
肩・膝・肘などに小さな痛みがある - 睡眠の質が落ちている
浅い眠り・早朝覚醒・寝付きの悪化 - トレ後の疲労が翌日まで抜けない
慢性的な倦怠感・筋肉の張りが残る
ディロードを導入することで、
筋肉が落ちるのではないかと不安になる方も多いですが、
実際にはその逆です。
適切な休養を挟んだ方が、
トレーニング再開後の伸び率は明確に上がります。
体が「回復した状態」で行うトレーニングこそが、
真の成長を引き出す土台になります。
まとめ
トレーニングを続けていれば、どんな方にも
「今日は重いな」「いつもの回数が上がらない」
という日が必ずやってきます。
しかし、それは決して筋肉が減ったからではなく、
神経や精神、栄養、環境など、さまざまな要素が
“今日のパフォーマンス”に影響を与えているにすぎません。
成果が出る人は、この「調整」が上手い傾向にあります。
「力が出ない日」を焦りに変えるのか、準備の日に変えるのか
その選択が、半年後、1年後のあなたの筋肉を左右します。
「うまくいかない日があっても大丈夫」
「今日は整えることで、次に備える」
今の調子に合わせて、筋トレの
トレーニングプランを立ててみてください。
そして、「休む」ことにも価値があると、
意識して取り入れていきましょう。
日常的なコンディション管理のために重要となる
ストレス管理とおすすめの取り組みについては
こちらをチェックしてください。
-
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【筋トレ×CBD】ストレス、睡眠の質の管理の重要性
2025/6/25